このページでは基礎科学実験第一(物理実験)で行われているテーマについて、テキストとは別の観点(各テーマを楽しむためのポイントと測定すると きの注意点)から解説することを目指したものです。実験の原理や進め方などの詳しい内容は、合わせて実験テキストを参照して下さい。

 実験は全体を通して、

等を意図してテーマが用意されています。「体験」、「経験」は、実際に実験を行うことを通して、その他は実験を行って得た結果を、文書でまとめるこ とで習得されます。そこで実験の授業では、どのテーマ(課題)についても、実験を行い、報告書(レポート)をまとめ、それを提出してもらうまで実験 は終わりになりません
 基礎科学実験第一では、「物理」を話題の中心に置いて、様々な物理量を測定することによって上記の目標を達成することを目指しています。目標の中にもあ るように、この実験授業を行うことで理工系学生として知っていてほしい知識の習得のみならず、物事を科学的に分析する方法や論理的な思考、またそれらを文 書にまとめる能力を培う(つちかう)ことができます。

実験テーマ
  1. 重力加速度の測定
  2. 音の共鳴
  3. 液体の比熱
  4. 2次元の等電位線
  5. 蛍光灯の電圧-電流特性
  6. 熱電対の較正
  7. ヤング率と剛性率
  8. 粘性率と表面張力
  9. 光電効果
  10. 光のスペクトル
  11. 光速度の実験
  12. エア・トラックによる力学実験
  13. 計算機シミュレーション
  14. 放射線の計測

 

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●重力加速度の測定

 振り子の周期がそれの長さだけで決まること(振り子の等時性、1583年にガリレオによって発見されました)は古くから知られていました。実際、お もりの大きさが無視できて、振れ角が十分に小さいとすれば、運動方程式から周期が、

T =2π (h/g)1/2

となることがわかります。ここで h は振り子の長さであり、g は重力加速度です。この式を用い れば(長さがhの振り子を作って振らせ、その周期を測定したとすれば)重力加速度 g を得ることができます。このテーマでは、「振り子の周期と長さを測定して重力加速度を求める」ことに加えて、「精密に測定する」ということにもポイントを おいて実験を行います。

 

 

【楽しみ方】

 実験で測定を行うときに、単純に測定をしただけでは正確さが不十分な場合があります。このようなときに人知をもって工夫するというのが実験の面白 いところだと思いますが、まさにこの実験ではこのことが体験できます。

 この実験では約1mの振り子を作って実験を行います。この振り子の周期はおよそ2秒ですが、一般的なストップウォッチで100周期を測定したとし ても、ストップウォッチのon/offにそれぞれ0.2〜0.3秒ほどの誤差があるために、測定精度はせいぜい3桁(100周期の測定で約0.5秒の誤差 とすると1周期の誤差は0.005秒=5×10-3秒)しか得られないでしょう。ここでは3桁より良い精度で周期を測るために、ビート法という測定手段を用います。
 ビート法の面白いところは、振り子の周期を直接測定するかわりに、正確に2秒(±1μs)毎に発光するフラッシュ光と振り子の振動との”うなり”(ビー ト)を観察し、その周期を測定することによって精度を上げることです。この方法を使えば、ビートの周期測定の誤差が、仮に1秒あったとしても振り子の周期 は10-4〜10-5の精度で求めることができます。

 なお、振り子の長さは、金尺を用いて最小目盛りの1/10まで読むことにすれば10-4程度の精度が得られます。もちろ ん、1回の測定だけでは不十分ですので多数回の測定をする必要があるのはいうまでもありません。

 

【測定のポイント】

 初めに述べたように、この実験では重力加速度を「精確に測定する」ということが目標です。このため、振り子のおもりの大きさや振れ角が有限である ことを考慮しなければなりません。そして、重力加速度を求めるのに必要な各量は慎重に測定する必要があります。振り子の長さは特に慎重に測定する必要があ り、周期の測定前に3〜4回行い、さらに周期の測定後に3〜4回測定しましょう。ビートの周期は、1つの振り子について3〜4周期を連続して測定して、そ の平均値を用いるのが良いと思います。もし時間があれば、振り子の長さを違えて何回か測定を繰り返してみましょう。

 

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●音の共鳴

 物体には、それを構成する物質と形によって固有振動数が決まっていま す。物体に周期的な力を外から与えたときに、その振動数が物体の固有振動数に一致するとき、その物体の振動が非常に大きくなります。このような現象は共鳴と呼ばれます。固有振動数の同じ2つの音叉を置いて片方を鳴らすとき、もう一方も鳴りだす現象は共 鳴の一例です。
 空気の振動である”音”そのものは、直接目で見ることはできません。しかし、あらかじめコルクの粉のような軽い粉末を管内に入れ、管内の気柱と音(音 波)を共鳴させると、定在波の腹の近辺でコルクが激しく振動します。この実験では、共鳴した 気柱内でコルクが振動する様子を観察して音の波長を読み取り、音の速さなどを求めます。

 

【楽しみ方】

 課題の前半は、音(発振器で出したサイン波をアンプで増幅し、スピーカーで発する)を円管に入れて共鳴を起こします。振動数を変えていくと共鳴が 起こる(コルクの粉が徐々に振動し始めてやがて極大に達する)様子が詳しく観察できて大変面白いものだと思います。円管の中に空気以外の気体を封入するこ とで、気体の違いによって音速が異なることも体験することができます。

 課題の後半は「クントの実験」と呼ばれているものです。金属棒の縦振動がガラス管内 の気柱と共鳴するとき、キーンという高い音を発します。銅や真鍮(しんちゅう)など、いくつかの材質で試して音質などがどのように違うのか注意してみま しょう。この実験では、音の発生源(金属棒)の弾性的な性質を表す量であるヤング率、金属棒を伝わる音の速さを求めます。気体中の音速に比べて、棒を伝わ る音の速さがかなり速いことを確かめて下さい。

 

【測定のポイント】

 円管の実験はとくに難しい所はないと思います。共鳴周波数(コルクの粉が一番激しく振動する振動数)を測定する際の誤差は検討に値します。また、 一番はじめの共鳴振動数のn(整数)倍付近でも共鳴が起こることを確かめましょう。テキストの課題にはありませんが、nと音速の関係を調べてみることも面 白いでしょう。

 直管によるクントの実験では、棒を擦ってもなかなかうまく振動してくれない(共鳴音が出ない)場合があります。このようなときには、棒を固定する 場所が正確に棒の真ん中にあるか確かめましょう。擦るときのコツは、無理矢理に力を入れないで、棒をチョットつまむ(もしくはつかむ)ようにして棒 に沿って滑らかに手を動かすことです。

 

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●液体の比熱

  夏の暑い盛りのお昼ころ、実験室のあるL棟に入ると外と違ってヒンヤリ涼しく感じることがあります。これは外気温度が高くても建物内部の空気を暖めるまで に相当時間が必要であるということです。ところで、同じ体積の空気と水を用意して同じ熱源で温めたとしたらどちらが温めやすいでしょうか?また自然に冷却 したときはどちらが冷めやすいのでしょうか?

 「温めやすさ」とか「冷めやすさ」という性質を表す物理量(温度を1K上げるのに必要な熱量)を「熱容量」といい、それを質量で割った量(単位質量の物質の温度を1K上げるのに必要な熱量)は物質に固 有な量で「比熱」といいます。この実験では、水やアルコールの比熱を測定します。

 

 

【楽しみ方】

 最初に水で実験します。結構時間がか かります。次にアルコールで実験をします。所要時間はアルコールの方がずっと短いですね。物質によって「温めやすさ」とか「冷めやすさ」がこんなにも違う ものだと実感できれば、この実験は楽しくなります。

 

【測定のポイント】

 ヒーターコイルを作成する際には、マンガニン線の被覆を削り取らなければなりません。放熱の状態を同じにするために、水で実験するときとアルコー ルで実験するときとで、同じ体積でなければなりません。2つの試料の測定では、なるべく同じ温度範囲で測定してください(同じ温度範囲のデーターを比較す るため)。

 コイルに電流を流す前に、1分ほど撹拌をして試料液体を一様な温度にします。その後で電流を流して加熱を始めます。測定中は常に試料を撹拌して、 温度にムラが出来ないよう注意する必要があります。撹拌棒は小さく振動させるだけで十分です。大きく上下に動かしてヒーター線にに引っかけ たり、乱暴に撹拌して液をこぼしたら実験は失敗です。

 

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●2次元の等電位線

  地図を詳しく観察したことがある人は知っていると思いますが、そこには海面からの高さが等しい場所を結んで出来る線(等高線)が書き込んであるものがあり ます。例えば山の地図を見るとその線の間隔などは一様でなく斜面の傾きが急なところは密、緩やかなところは粗になっています。この地図さえあれば、山の頂 上に降った雨水がどう流れていくのか、雨の日に山に行って見なくてもおおよそわかります。

  物理の言葉を使うと、地面を「高さの場」ととらえることができます。場というのは各点(今の場合は地面のあらゆる場所)で、ある物理量(今の場合は高さ) が決まっているような空間と思えば良いかと思います。この場という概念を用いることで、実は身の回りの色々な物理(例えば重力場や電磁場、流体の流れな ど)を説明することができることがわかっています。

 電子の流れである電流も、それが流れているところには仮想的な山や谷ができていると考えると説明が単純になって好都合です。電気の場 合、等高線に相当するものは電位の等しい場所を結んでできる等電位線です。この実験ではこの等電位線を実際に観測することが目的です。

 

 

【楽しみ方】

 この実験では、導電性のカーボン紙に銀ペーストで電極を描き、電流を流します。電流はもちろん目に見えるわけではありませんが、カーボン紙上の各 点で電圧を測定し、電圧の等しい所を結んで出来る等電位線を見れば、どのように流れていくのか想像してみることができます。目には見えない模様が次第に明 らかになっていくのは大変興味深いことです。

 水の流れが等高線に直角であるように、電流の流れは等電位線に直角です。後半の実験では、等電位線を描いたカーボン紙に電流線を描いていきます。 もちろん、実際に測定するのは電圧ですから、電流線が等電位線に等しくなるような状況を作ってやるわけです。どうすればよいでしょう?実験を楽しみにして いてください。

 

【測定のポイント】

 電極を塗布するときはなるべくキレイに仕上げましょう。カーボン紙に手をつきながら電圧を測定していると、測定結果に悪影響を及ぼすかもしれない ので気をつけてください。カーボン紙の大きさが有限であるために、縁で等電位線は理論式とずれてしまいます。カーボン紙の縁と等電位線がどのように交わる のかよく観察してみましょう。そこでは電流がどのように流れているのでしょうか?

 

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●蛍光灯による電圧-電流特性注)

  「蛍光灯」を知らない人はいないと思いますが、今日もっとも一般的な照明器具の1つである蛍光灯がどのような部品から構成され、それらがどんな機能を持っ ているかに興味を持った人はほとんどいないと思います。この実験では市販の蛍光灯を分解して、蛍光灯がついているときに各部品にかかる電圧や回路を流れる 電流を測定します。またオシロスコープという電圧の時間変化を表示する測定機器を使って、各 部にかかる電圧波形を観察します。さらに、もう一つの照明器具である”電球”で同じような実験をして両者の違いを見てみます。

 

 

【楽しみ方】

 この実験ではなんといっても蛍光灯の発光メカニズムを知り、コイルや放電管(蛍光灯)などにかかっている電圧波形を観察して楽しんでほしいもので す。みなさんは、家のコンセントから取り出す電気が100V(実効値)の交流電圧で、東日本ではその周波数は50Hzであることを知っていると思います。 オシロスコープを用いて、交流電圧の波形を直接目で見て、電圧の最大値が約140Vであることや、周波数が50Hzであることを確認しましょう。

 一般的な市販の蛍光灯を分解してみると、主な部品は安定器(コイル、記号はL)と蛍光管(放電管)およびグローランプであることがわかります。こ の実験では、電流を測るため、回路に抵抗(記号R)を挿入しています。全体の回路は基本的にはL-R回路(実際にはグローランプに平行してコンデンサーが 挿入されていますが、これは発光に直接寄与していないので測定の対象から除いています)ですので、交流電圧を印加すると、電圧と電流の間に位相差が生じます。オシロスコープを使えばこの位相差を実際に測定することができま す。放電管があるため、全体の波形には細かいノイズが入っていますが、それでも、例えば蛍光灯とコイルの波形を同時に表示することで、レンツの法則が見て 取れます。

 

【測定のポイント】

 この実験は、計器の読み間違いをしなければ問題はおきません。オシロスコープについては、「触れるのは初めて」という方がほとんどだと思います。 気をつけなければいけないのは、測定するときにはいくつかのスイッチを適切に設定する必要があることです。これらのスイッチを勝手にいじると、位相差など が正確に測定できなくなることがあります。もう一つは、抵抗を測定するときに、絶対に回路に電流を流 したままやらないことです。

 

注)この実験は「身のまわりの物理」(兵藤 申一著 裳華房)p.117〜p.130の記事、およ び中央大学のスタッフによる「応用物理教育」18巻p.145〜p.154(1994)に掲載された記事を参考にしています。具体的な課題等を作成する際 に、特に応用物理教育の内容をそのまま流用しているものもあります。

 

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●熱電対の較正(こうせい)

 日常生活で使う電気ポット、電気炊飯器やエアコンなどは、内部で温度を測って電力をコントロールしています。私たちは、気温の寒暖 や、物の温度を測るときに、”温度計”を用い、例えば「今日の最高気温は(セ氏)25℃(度)」などと言います。

  セ氏温度は、セルシウスが一気圧下で水の沸騰する温度と氷の融解する温度の間を100等分してその1つに相当する温度の差を1℃としたものです。われわれ が目にするアルコール温度計は温度によってアルコールの体積が変化することを利用してセ氏温度を表示するものです。もっとも、最近では”温度計”といえ ば”デジタル温度計”を思い浮かべる人が多いかもしれません。

 このように、物質の何らかの性質が温度によって変化(例えば金属の抵抗は温度によってその値が変化します)するとき、それを利用して温 度計を作ることが出来ます。この実験では、2種類の金属をつなぎあわせて接点間に温度差を与えたと きに起電力が生じること(ゼーベック効果)を利用します

 

 

【楽しみ方】

 熱電対の較正を行うために必要なデーターを求めるために、3種類の金属を融解させてから自然に冷却し、それらの温度の下がり方を(実際には電圧変 化として)観測します。凝固点付近で、金属の温度は不思議な振る舞いを見せます。特に、スズでは興味ある現象がみられることがしばしばありますので注意深 く観察しましょう。

 先に述べた金属抵抗の温度依存性を利用する方法や、この実験で用いる熱電対の利点は、出てくる信号が電気信号だということです。電気信号は簡単に コンピューターに取り込むことが出来ますので色々なところで応用されています。どんな利用法があるのかを想像するのもこの実験の楽しみの1つでしょう。

 

【測定のポイント】

 測定はとても単純ですが、金属を融解させるほどの高温を扱う非常に危険な課題の1つです。 例えば電気炉のふた、熱電対の測温部は非常に高温になりますので絶対に素手で触ってはいけません。 その他にも、不用意に触ると思わぬ火傷をおうことがありますので、十分に注意を実験しましょう。

 熱電対の接点一方を0℃に保ち、他方の接点の温度と起電力の関係を求める、すなわち「較正(こうせい)」すれば、熱電対が温度計として使えます。 この実験で用いる熱電対は、温度差と起電力の関係が非直線的(2次曲線でよく近似できる)になります。したがって、較正を行うためには、少なくとも3つ以 上の測定値(起電力と温度の関係)を求め、最小2乗法で2次曲線を決めます。最小2乗法の計算では桁落ちがおこりますので、途中計算の桁を7桁程度とって 行ってください。

 

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●ヤング率と剛性率

  身の回りで「バネ秤」を目にすることはもう無くなってしまいましたが、バネにおもりをつるしていったとき、バネの伸びと荷重の関係をグラフにすると直線的 になります。荷重と変形の直線的な関係はフックの法則として知られてます。バネに限らず、物体には力をかければ変形(”伸び”、”たわみ”、”ねじれ”) し、かけた力を取り去れば(もちろん、ある限界以上力を加えた場合は元の形状にはもどりません)元の形状に戻る性質、「弾性」を持っています。このテーマ では様々な物質について弾性定数を求めることで、弾性という性質について考えることが目的です。

 

 

【楽しみ方】

 ”伸び”や”たわみ”の弾性定数であるヤング率を求めるには、試料棒(金属棒)の真 ん中に荷重をかけていったときの”たわみ”を測定します。容易に想像できると思いますが、金属棒に数百グラムの荷重をかけても目で見えるほどにはたわみま せん。そこでこの実験の工夫点は、いかに微小なたわみを拡大してやるかということにあります。まったくうまいことを思いついたとものだとおもいますが、じ つは「光てこ」を使うと簡単に拡大して”たわみ”の量を読むことができます。実験ではより現代的に、半導体レーザーを用いて「光てこ」を構成しています。

 同じ荷重をかけたとき、ヤング率や剛性率が大きい物質と小さい物質ではどちらが大きく変形する考えてみてください。

 

【測定のポイント】

 ヤング率も剛性率も、測定自体はそれほど難しくありません。ヤング率の測定ではいかに焦らないで測定を行うかが問題です。おもりを載せていくとき に鏡を揺らさないように注意しましょう。ヤング率の計算に必要な各量のうち、あるものは大きな誤差を与えます。そのような量は慎重に測定し てください。レーザー光を直接目に入れないように注意して下さい。

 “ねじれ”の弾性を表す剛性率(ずれ弾性率)を求めるには、針金のねじれ振動の周期を測定します。この課題では、ねじれ振動だけが起きるように注 意する必要があります。また初めに手でねじれを与える際に大きくねじらないようにしましょう。

 

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●粘性率と表面張力

 はちみつと水をコップに注いで傾けるとき、こぼれ方の様子はかなり異なっています。この違いは粘性という性質で説明できます。重力が 働いていないときに水が球体になるのは表面張力があるからです。この実験ではいくつかの液体について粘性率と表面張力を測ります。

 

 

【楽しみ方】

 毛細管に吸い上げた液体の最上端の下降する速さは刻々と変化しています。ここでは毛細管に3〜6cm毎についている標線間の平均の速さを求め、そ れを標線間の中点を通る速さと考えます。まず、このような測定の手法に注目して下さい。

 次に、アルコールと水を1:1で混ぜた混合溶液の粘性率が、水とアルコールの粘性率の平均値にはならないことは不思議ですね。表面張力についても 同様です。レポートを書くときに余裕があれば、なぜこのような面白い現象が起きるのか、調べてみて下さい。

 

【測定のポイント】

 ときどき毛細管の傾き角を水平方向から測った角度と勘違いしている人がいますが、テキストに書いてある傾き角は、鉛直方向が基準です。

 試料液体を吸い上げる際に、毛細管上部からあふれないように特に注意してください。また、液体を降下させるときに、3方コックを解放した直後は、 試料液体の流れが定常的な状態になっていないため、正しいデーターが得られないことがあります。したがって、液体が降下し始めた直後はデーターを取らない 方が良いでしょう。

 

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●光電効果

 金属表面にある振動数以上の光を照射すると、金属表面から電子が飛び出します。飛び出した電子を光電子と呼びます。飛び出す電子の運 動エネルギーは光の振動数によって異なります。また、光の強度には依存しません。光を波と考えたのでは、この現象を説明することができず、20世紀初頭の 物理学における大いなる謎とされました。
1905年、アインシュタインは光はエネルギーを運ぶひとつ、ふたつと数えられる粒子の性質を持ち、光電子の運動エネルギーは K=hν-W  (ここでhはプランク定数、νは光の振動数、Wは金属の仕事関数)で表されることを発表しました。
この実験では、基礎物理学定数のひとつであるプランク定数、金属の仕事関数などを測定します。

 

 

【楽しみ方】

この実験は、何が起こっているのか目で見ることができないので Physics by Pictures というソフトウエアを用意しました。光の振動数、光量、光電管にかける電圧を変化させて光電効果をシミュレートすることができます。測定を行う前にパラ メータを変化させて、目に見えない世界でどのようなことが起きているのかイメージしてください。
 

【測定のポイント】

ハロゲンランプの電源(写真の左側)を入れる前に、4つあるつまみの左から2番目を時計周りに目一杯に回しすこと。そうしないと、ランプを切っ てしまう可能性があります。課題1は実験当日中にグラフを作成して、担当教員に確認してもらうといいでしょう。
課題4の追い込み電圧は1V刻みでもいいでしょう。

実験テキストはここ

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●光のスペクトル

 いままで虹(太陽光のスペクトル)を見たことがない人っていないと思い ますが、虹の色がどういう順番で並んでいるか知らない人はいませんか?光の色は光の波長で決まります。この実験では放電管が放つ原子の光を観測して色や波 長について考えます。

 

 

【楽しみ方】

 太陽光のスペクトル(連続スペクトル)と異なり、実験で使用する放電管の発する光は線スペクトルで す。水銀やカドミウム、水素の放つ光を観察すると、様々な色のスペクトル線が 見えます。まずはそれらの美しさを楽しんで下さい。みなさんが見たスペクトルの色とその波長の関係に注目しましょう。水銀を観察したら、簡易分光計で蛍光 灯の連続スペクトルも観察してみましょう。晴れた日には簡易分光計でぜひ太陽光も観察して見て下さい。トンネル内のナトリウム照明下ではなぜ色がモノトー ンに見えるかが説明できますか?

 

【測定のポイント】

 望遠鏡を使用して実験をする場合、視差を意識する必要があります。この実験では1次、2次回折光の方向を望遠鏡で読み取りますが、視差の調整を行 わなければ大きな誤差を招きます。測定によって得た角度は”分”という単位まで測りますが、電卓で角度の sin を計算する際に”分”の取り扱いには十分に注意して下さい。計算したスペクトル線の波長が可視光の領域にないようなときはもう一度計算しなおしましょう。

 1分=1/60度
 可視光の波長範囲:だいたい 400nm〜700nm

 

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●光速度の測定

  ガリレオは、光の速さは有限であると考え、1マイルほど遠方の人と光の信号のやり取りをする実験をして光速度を測ろうとしましが、光が速すぎるために実験 は失敗に終わったといいます。現在ではハイテク技術の成果により実験室内の狭い空間においても光速度を直接的に測定することができるようになりました。

 

 

【楽しみ方】

 昔の人があれほど苦労した光速度の測定が学生実験で手軽に行えるようになった理由は、継続時間が 10 ns(10-8s すなわち1億分の1秒)という短い光パルスが、半導体レーザーを用いると簡単に得られるから です。このような短い時間をオッシロスコープで簡単に見ることができることも素晴らしいですね。

 光路の細かい調整が首尾よくできて、オッシロスコープで2つの反射光のパルスをうまく観測できたなら、立派なテクニシャンの卵です。頑張って下さ い。

 

【測定のポイント】

 光は直進するのだから光路を決めるのは簡単なことと思っているかもしれませんが・・・なかなか大変なことがわかるでしょう。どうすれば所定の位置 に光線を当てることができるか、単に試行錯誤的に調整作業を繰り返すのでなく、よく考えて行って下さい。現実の実験では通常、このような細かい手作業によ る調整が要求されます。

 

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●エア・トラックによる力学実験

 日常体験する範囲では、水平な床の上で物を滑らせたとしてもすぐに停止してしまいます。これは物体と床の間に摩擦があるからです。では、もし摩擦がなければいつまでも滑っているかというと、そういうわけでもあり ません。空気中で運動する物体は、空気からの抵抗力を 受けるからです。この実験では物体と台との摩擦をなくすことができる装置(滑走台)を使って空気の抵抗がどの程度なのかを調べます。また、このときに台が どのくらい傾いているかがわかるので、台を水平にすることができます。台を水平にすることで重力の影響のない状態で物体の衝突の様子をみることができま す。

 

 

【楽しみ方】

 この実験は明確に前半と後半にわかれています。前半は空気抵抗の影響を見ること、および滑走台を水平にすることが主目的です。運動方程式によれば 速度と加速度(減速の加速度)の関係が2次曲線(放物線の一部)になることがわかります。しかし、実際にデーターをとってみると多くの場合、とても放物線 の上に乗っているように見えないかもしれません。しかし、データーは放物線のまわりに散らばっているのだと考えて、大胆に放物線を描いてみて下さい。結構 もっともらしく見えるものです。

 後半では台を水平にした後で衝突や反発の際の力学的な実験を行い、例えば運動量が保存していることなどを確かめてみることができます。

 

【測定のポイント】

 この実験のデーターが理論曲線に余りよく載らないのは、色々な誤差が関与しているからです。周囲の空気の流れや滑走体の横ぶれなどは誤差を大きく する原因です。もし解釈に困ってしまったら、データーを取り直すよりも担当の先生に聞いてみる方が良いでしょう。

 時々、台を水平に調整した後で滑走体を滑走台に置いて様子を見ている人がいます。この実験で行う水平調整とは、あらゆる場所で「水平」という意味 ではありません。つまり、調整の後でも台は局所的にはゆがんでいるので、滑走台のどこに置いても滑走体が静止したままでいるわけではありません。

 

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●計算機シミュレーション

 例えば天気予報のための天気図作成、無人探査機を遠くの惑星まで飛ばす際の軌道計算から、車のボディ形状や分子構造の形を決めるま で、多くの分野の色々な場所で、現在コンピューターによるシミュレーション(模擬実験)が重要な役割を演じています。この課題では実験という観点からコンピューターシミュレーションを取り入れています。

 

 

【楽しみ方】

 力の指数と初期条件を入れれば、軌道がパッと出てくるのは見ているだけで楽しいですね。力の指数を-2にして太陽系の諸惑星の初期条件を与えれ ば、それらの軌道が一望できます。人類が今まで実際に目で見たことがないものを、17インチのディスプレーの中で見ることができるのは非常に興味深いと思 います。万有引力が-2から少しでもずれてしまっていたら惑星の軌道はどうなるのでしょう。また、-2とは異なっていたらケプラーは惑星の運動に関する” ケプラーの法則”を発見しえたでしょうか?

 

【測定のポイント】

 この課題では、2次元の平面内で中心力の影響下にある質点の運動を解くアプリケーションを使用して運 動を解析します。中心力は -rn の形に設定され、n を -10 < n < 10 の範囲で自由に選ぶことができます。初期条件を指定すると軌道が1つ決まり、その軌道が画面に描きだされます。このようにこの課題では数値を指定するだけ で軌道が描けるので、力学の問題を解いていることを意識して行わないと、ただ絵を何枚も印刷しただけで終わってしまいます。

 コンピューターシミュレーションで重要なのは、得られた結果が正しいものなのかをチェックすることです。コンピューターは、人が命令した通りのこ とを行い、答えを出してくれる便利な物ですが、逆に言えば、壊れていない限り間違っている、いないに関わらず答えが出てくるのです。だから、得られた結果 について十分に吟味することが必要となります。

 

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●放射線の計測

 現在日本では発電の相当部分を原子力エネルギーにたよっています。原子力そのものについての是非はともかく、そこから出てくる廃棄物 の処理は人類の共通の課題です。廃棄物についての問題点は、それから出てくる放射線に集約さ れます。

 この実験では放射線に関する最も基本的な測定方法を体験します。この実験で用いる放射線源は、電子(正確にはベータ崩壊で出てくる電 子)の流れであるβ線や電磁波であるγ線(波長が10-12mより短い電磁波)を出しています。しかし実験による放射線の被曝は心 配する必要はありません。健康診断のX線撮影や、旅客機で高いところを長時間飛行するときのほうがより放射線を被爆します。それでも放射線源を手で直接 触ったりしないように注意して下さい。

 

 

【楽しみ方】

 放射線源を扱うというだけで何か理工系の大学生になったのだという気がしませんか?まず、私たちの体が常に放射線(自然放射線)にさらされていることを知り、それがどの程度の頻度なのか体験します。ガイガー管に放射線 が飛び込んでくると、放射線検知装置が「プチ」という音を出します。音の鳴る間隔などに規則性があるかどうか注目してみましょう。

 

【測定のポイント】

 この測定も測定自体は極めて単純です。確率的な現象を調べるための手法について注目して下さい。一見デタラメな数字のつらなりに見える測定値も、 適当な処理方法を用いれば、実はそこには規則性があるということがわかります。テキストの指示に捕らわれずに、なるべく多数回の測定を行うように挑戦して みましょう。全測定回数によってヒストグラムがどのように変化するのか注意深く観察しましょう。

 

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